野崎村(のざきむら)(歌舞伎座12月公演)
私的印象は...イマイチ、かなあ。
(配役)
お光 福 助
お染 孝太郎
後家お常 秀 調
久作 彌十郎
久松 橋之助
今回は、メインの「大江戸りびんぐでっど」が2時間半と短いせいか、1時間前後の濃い内容が2本。結構つらい。
歌舞伎って長い話のうち名場面がある幕だけの上映というのがよくあり、この野崎村もそのひとつ。
「お光」が近いうちに挙げるであろう祝言を思い描きながらルンルンと生活をしているところ、「お染」が訪ねてくる。お染はお光の祝言相手、久松の奉公先の娘で、久光と恋仲だったのがバレ、引き裂かれたのだとか。
お染はそれを一切語らないのだけれど、お光は敏感に察し、追い返してしまう。
ちゃきちゃきした農家の娘の福助と、おっとりした大店の娘の孝太郎の対比が面白い。
最後は、お染と久松を分かれさせることは出来ないと察したお光が髪を下ろし、自分は尼になるのだからと久松を奉公先に帰らせます。(まあ、いろいろ中盤のくだりはあるのだけれど)
舞台中央から上手に向かって「船で漕ぎ出す」お光と、花道を籠で行く久松。同じところへ帰るのに、まったく別の方向に向かうところがこれからの苦難を象徴している感じの終わり方です(最後は心中するらしいのですが、イヤホンガイドに言われた悲壮感や不吉の前兆、みたいなのは気付かなかったです)。
籠も船も見えなくなって、舞台にはお光とその父久作が立ち尽くします。
その長い、間。
一番の見所に思えました。
ギリギリのところで立ち尽くし、もう見えなくなった久松の籠をひたすら追い続け、懸命に何かをこらえる。
...そして、プツリと途切れ、泣き崩れる迫力。
これを書いている途中に他の方の劇評を見たのですが、この舞台配置間違ってるというか省略されているらしい!
本当は仮花道を作って、同じ方向に同時に進むというストーリーだったとのこと。
うわああんうそつき!
私は変な考察しちゃったじゃないか!
まあ、舞台自体を見ての感想だから変えたりしないけどもさ。
歌舞伎の本丸、歌舞伎座での舞台なんだから、きちんと伝統に則った演出をして欲しいなと思ったのでした。
仮花道作らないのって、別に新しい解釈とかじゃなくて、単なる手抜きだし!
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