2009年12月21日

身替座禅(歌舞伎座12月公演)

 この演目を見るのは2回目。
 前回は、右京は仁左衛門でした。
 全体の印象としては、良い芝居。少し染五郎の動きの雑さ、侍女二人の動きの揃わなさが気になりましたが。

(配役)
 山蔭右京  勘三郎
 太郎冠者  染五郎
 侍女千枝  巳之助
 侍女小枝  新 悟
 奥方玉の井 三津五郎

 基本的に、複数回見る演目というのは、最初の方が印象が強く、2回目は点が辛くなるのですが、今回も同様。
 

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2009年12月 9日

野崎村(のざきむら)(歌舞伎座12月公演)

私的印象は...イマイチ、かなあ。
(配役)
   お光  福 助
   お染  孝太郎
 後家お常  秀 調
   久作  彌十郎
   久松  橋之助

 今回は、メインの「大江戸りびんぐでっど」が2時間半と短いせいか、1時間前後の濃い内容が2本。結構つらい。
 歌舞伎って長い話のうち名場面がある幕だけの上映というのがよくあり、この野崎村もそのひとつ。
 「お光」が近いうちに挙げるであろう祝言を思い描きながらルンルンと生活をしているところ、「お染」が訪ねてくる。お染はお光の祝言相手、久松の奉公先の娘で、久光と恋仲だったのがバレ、引き裂かれたのだとか。
 お染はそれを一切語らないのだけれど、お光は敏感に察し、追い返してしまう。
 ちゃきちゃきした農家の娘の福助と、おっとりした大店の娘の孝太郎の対比が面白い。
 最後は、お染と久松を分かれさせることは出来ないと察したお光が髪を下ろし、自分は尼になるのだからと久松を奉公先に帰らせます。(まあ、いろいろ中盤のくだりはあるのだけれど)
 舞台中央から上手に向かって「船で漕ぎ出す」お光と、花道を籠で行く久松。同じところへ帰るのに、まったく別の方向に向かうところがこれからの苦難を象徴している感じの終わり方です(最後は心中するらしいのですが、イヤホンガイドに言われた悲壮感や不吉の前兆、みたいなのは気付かなかったです)。
 籠も船も見えなくなって、舞台にはお光とその父久作が立ち尽くします。
 その長い、間。
 一番の見所に思えました。
 ギリギリのところで立ち尽くし、もう見えなくなった久松の籠をひたすら追い続け、懸命に何かをこらえる。
 ...そして、プツリと途切れ、泣き崩れる迫力。
 
 
 これを書いている途中に他の方の劇評を見たのですが、この舞台配置間違ってるというか省略されているらしい!
 本当は仮花道を作って、同じ方向に同時に進むというストーリーだったとのこと。
 うわああんうそつき!
 私は変な考察しちゃったじゃないか!
 まあ、舞台自体を見ての感想だから変えたりしないけどもさ。
 歌舞伎の本丸、歌舞伎座での舞台なんだから、きちんと伝統に則った演出をして欲しいなと思ったのでした。
 仮花道作らないのって、別に新しい解釈とかじゃなくて、単なる手抜きだし!

2009年12月 8日

操り三番叟(歌舞伎座12月公演)

 記憶が薄れないうちに観劇録。スケート観戦と平行して書いてると何がなんだか分からなく。
 グランプリファイナルにあわせて上京したので、開いている日にちは12月4日のみ。
 そのなかで、歌舞伎座昼公演には贔屓の勘太郎、染五郎が出るとあってホクホクです。
 操り三番叟は数年前に歌舞伎座で染五郎の「松寿操り三番叟」を見て以来非常に好きな演目。
 且つ、踊りのうまい勘太郎とあって、とても楽しみでした。
 ちなみに、購入した筋書きをチェックしたところ、私が見た操り三番叟は平成15年の演目だったっぽい。(調べたところ、2003年の「歌舞伎四百年三月大歌舞伎昼公演」でした)
 うわあ。
 その演目で染五郎ファンになったもので、楽しみでした。

(配役)
  三番叟  勘太郎
  後 見  松 也
  千 歳  鶴 松
   翁   獅 童

 千歳(せんざい)の舞は初々しい感じ。やや堅いものの、まあ若い役だし良いか。
 翁の舞は、...うーんイマイチ。
 かなり硬くて、私の席からは「震えている」ように見えました。動きが全然スムーズじゃない。
 イメージとしては、フリーハンドでまっすぐな線を引くはずが、出来上がってみたら波線になっているというかがたがたしている感じ。翁らしいタメも重みもなく、ちょっと残念。
 三番叟は、三番叟という舞を踊る人形を、後見が操るという趣向。
 最初に箱から出され、抱えられて舞台中央へ(実際は、後見が小脇に抱えたところを三番叟は膝を曲げずにすり足で歩き、足がだらんとぶら下がって床を擦っている感じ)。
 人形である三番叟のポーズを整えるために軽く持ち上げ、置き方を修正。そこでも後見と呼吸を合わせ、体重を感じさせない動きはさすが、秀逸。
 ただ、そこから先は、ちょっと息のあっていない感じがしました。
 伏せて周囲の見えないままの勘太郎は、後ろの音楽などをキイに合わせるしかないと思うのですが、それがあっていないので、うーん。後見があわせないといけないと思うのですが、...ちょっと経験が足りないのかなあ...。
 過去の公演と比べられるのが歌舞伎の良いところでもありますが、以前に見た三番叟があまりにもぴったり合いすぎていて鳥肌が立ったくらいなので、まだ開演して3日目の演目に期待しすぎたのかもしれません。
 勘太郎の動きは多少の粗もありながらすごく良かったし、後見も単独で動くところは丁寧でよかったので、後半の円熟味に期待、かなあ。といってももう1回見に行くことはできないんだけど。

2009年12月 4日

歌舞伎座12月公演(昼)を見に行った。

 歌舞伎座さよなら公演。
 歌舞伎座取り壊し(※建替えです)の話を聞いてから、3回目くらいかな。
 行ってきました。

 今回は知人と2人で行きましたが、幸運なことに1階中央花道脇という良席。
 とてもわくわくしました。
 演目は、
 操り三番叟
 野崎村
 身代わり座禅
 大江戸りびんぐでっど
の4作品。
 すべて1幕物というちょっと面白い構成です。
 
 大江戸りびんぐでっどは、宮藤官九郎の新作物。
 ちなみに夜は野田版鼠小僧の再演で、現代歌舞伎2本立てという面白い構成でした。
 夜公演も取りたかったけれど、そもそもの旅の目的がフィギュアスケートを見るというものだったので、夜公演を取れるはずがありません。
 さすがに新作と言うことで、会場は大入り満員。昼の部は、チケットは全日ソールドアウトでした。

2009年11月 3日

「サロメ」@北九州芸術劇場

 ものすごく久しぶりに演劇を見た。
 ...ような気がしたのですが、そういえば「江戸の青空」(5月)以来でした。
 
 久しぶりに、劇場全体にキン、と糸が張ったような舞台を見た気がします。
 G2のようなゆるゆるな舞台もいいのですが(それが撓んでいるといいたい訳ではなく)、作りこんで作りこんだような舞台は、ものすごくよい余韻を残してくれます。

 冒頭の森山開次さんの登場から、あの身体バランスと計算されつくしたしなやかさに圧倒されました。
 4人しか出てこないのですが、それぞれがそれぞれに与えられた役どころを見せ、決して舞台ががらんどうに見えないのです。凄い。

 篠井英介さんは、去年北九州芸術劇場に「サド公爵夫人」で来られていたのに出張が入っていて見られなかったので、リベンジと、とても楽しみにしていました。
 サロメは、事前にウィキペディアで手に入れたくらいの知識しかなく、出てきたときにはサロメのキャラクターにちょっと愕然。
 坂東玉三郎が3年位前に「浮舟」を演じたときくらいのちょっと苦しい若作り系を感じたのですが、それが段々魅力的になってきて、無理を感じない感覚になるのはやはりオーラがあるからなんだろうと思います。
 サロメの舞の直前(王と王妃の会話)のシーンから、舞のシーンは少し冗長感があったものの、それ以外は非常に引き締まっていてすばらしかったです。
 森山開次さんの「手~腕」だけの演技(肘から先だけを見せて、ほかの登場人物の会話にあわせて動かすシーンが多数あり)が、中でも抜群の効果を見せていたのは間違いないと思います。

 久々にいいものを見た、と真剣に思った演劇でした。

 帰り際、パンフを買うかどうか真剣に悩んだのは「劇中の不可解なシーン、解釈」をパンフ内で語っているかもしれないと心が動いたのと、逆に余韻が壊れるかもしれないと思ったからでした。
 結果、振り切って帰ったのですが、帰路に着きながらやっぱり買っとけばよかった、とちょっと後悔したのでした。

2009年6月27日

歌舞伎座さよなら公演

松本金太郎初お目見えの夜の部を見ました。 ていうか、昼の部が見たかったけどチケット取れなかった…。 仁佐衛門の一世一代見たかった…。

それはともかく、歌舞伎座はいつも役者がそろっていていいなあ。
顔ぶれも豪華で、外れない感じが嬉しい。

染五郎&仁佐衛門ファンの私的には、二人の出番が細切れで悲しかったけど…。
幸四郎さんは世話ものがあってるから、髪結い新三はかなり合ってました。
昔勧進帳を見てビミョーに期待外れとか思って申し訳ない…。