2009年11月 3日

「サロメ」@北九州芸術劇場

 ものすごく久しぶりに演劇を見た。
 ...ような気がしたのですが、そういえば「江戸の青空」(5月)以来でした。
 
 久しぶりに、劇場全体にキン、と糸が張ったような舞台を見た気がします。
 G2のようなゆるゆるな舞台もいいのですが(それが撓んでいるといいたい訳ではなく)、作りこんで作りこんだような舞台は、ものすごくよい余韻を残してくれます。

 冒頭の森山開次さんの登場から、あの身体バランスと計算されつくしたしなやかさに圧倒されました。
 4人しか出てこないのですが、それぞれがそれぞれに与えられた役どころを見せ、決して舞台ががらんどうに見えないのです。凄い。

 篠井英介さんは、去年北九州芸術劇場に「サド公爵夫人」で来られていたのに出張が入っていて見られなかったので、リベンジと、とても楽しみにしていました。
 サロメは、事前にウィキペディアで手に入れたくらいの知識しかなく、出てきたときにはサロメのキャラクターにちょっと愕然。
 坂東玉三郎が3年位前に「浮舟」を演じたときくらいのちょっと苦しい若作り系を感じたのですが、それが段々魅力的になってきて、無理を感じない感覚になるのはやはりオーラがあるからなんだろうと思います。
 サロメの舞の直前(王と王妃の会話)のシーンから、舞のシーンは少し冗長感があったものの、それ以外は非常に引き締まっていてすばらしかったです。
 森山開次さんの「手~腕」だけの演技(肘から先だけを見せて、ほかの登場人物の会話にあわせて動かすシーンが多数あり)が、中でも抜群の効果を見せていたのは間違いないと思います。

 久々にいいものを見た、と真剣に思った演劇でした。

 帰り際、パンフを買うかどうか真剣に悩んだのは「劇中の不可解なシーン、解釈」をパンフ内で語っているかもしれないと心が動いたのと、逆に余韻が壊れるかもしれないと思ったからでした。
 結果、振り切って帰ったのですが、帰路に着きながらやっぱり買っとけばよかった、とちょっと後悔したのでした。

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