2009年12月 8日

フィギュアスケートグランプリファイナル観戦(男子1~3位)

 さて、表彰台組。
 ...といいつつ、順位を書くのを忘れていました。

Pl/Name/Nation/Points/SP順位/FS順位
1 Evan LYSACEK /USA 249.45 /2 /1
2 Nobunari ODA /JPN 243.36 /3 /3
3 Johnny WEIR /USA 237.35 /4 /4
4 Jeremy ABBOTT /USA 235.38 /5 /2
5 Daisuke TAKAHASHI /JPN 224.60 /1 /5
6 Tomas VERNER CZE /192.32 /6 /6

で、各選手感想の続き。

 ジョニー・ウィア(アメリカ)
 いやもう、すごかった!
 ノーミスのジョニーは久しぶりっていう感じです。
 (実際は、NHK杯で見られたんだけど)
 ここのところ小さく調子を崩す感じが続いていたので、今季に賭ける思いを感じました。
 ショートプログラムは、もしかしたら一番の出来はジョニーだったんじゃないかと思いました。
 実際には、TES(要素点)でもPCS(演技点)でも、4位だったんだけど。
 凄い気迫を感じたし、名プログラムだと思います。
 現在、フリップジャンプにエッジエラー(軽度の!マーク)がついているので、ジャッジが殊更にジ
ャンプのクリーンさを求めている気がします。
 それでも、一時期6点台近くまで下がったPCS(演技点)が7点代後半まで戻ってきたのは、ミスのない演技を重ねてきたおかげかと。ジョニーのスピンやスケーティング、調子を崩していたけれどジャンプの美しさはもっと評価されていいと思っていたので、良かったです。
 フリーは、コンビネーションジャンプが1個少ないので(しかも3連続)、その時点で5~6点損を

しています。でも、2種2回まで跳べるジャンプは3Aと3Lzで、最大限点を取りにいく仕組みに。
 苦手気味なコンボを犠牲にして(体力も消耗するし)、プログラムのクリーンさをとった戦略ですが、GOE(加点)抜きの要素点の合計でジャンプの抜けた織田選手、ライサチェック選手(いずれも4回転はなし)に10点以上の差をつけられているのは、なんらかの改善の必要があるのでは...と思います。
 でも、会場で演技を見た限りでは圧巻。
 これは優勝くるかも!と期待させる演技でした。
 アメリカのオリンピック枠がどうなるか...。この気迫の演技をオリンピックで見たい...。


 織田信成(日本)
 うーん、ショートプログラムは、個人的にはあまり彼にあっていないというか。
 クラシックをのびやかに滑る、というのはスケートの王道であるわりに難しいことで、織田選手の動きには「ゆらめき」がないのですね。なのでクラシックの緩やかな強弱に合わないと言うか。
 彼には映画音楽などの、ドラマティックで勢いのあるもののほうが似合うと思うのですが...。
 当初のフランス大会(エリック・ボンパール杯)では、ショートプログラムではPCS(演技点)が出ず、フリープログラムで高い評価を受けて、やっぱりなとは思いました。
 今回は、ショートプログラムは最終滑走。高橋選手の高得点と会場の盛り上がりに、次滑走のアボット選手がややのまれてしまったように、その前のライサチェック選手が高得点を叩き出したため、どうかなという面がありました。
 結果としては、マイペースで滑ることができたようでした。
 これまでのパーソナルベストをだし、PCSも大分高めにはなりましたが、ショート1,2位の2人には及ばず。
 こなす要素とその出来栄えの点となる「TES」でも2人に及ばず、PCSでも及ばず。
 ニコライ・モロゾフのプログラムはジャンプを跳びやすく作るせいか要素間の繋ぎが単に滑っているだけと言うものになりやすいので、なかなかPCSが伸びません。
 このため、これまでの試合では、ジャンプなどの要素に関する評価は高く、TESではダントツトップなのにPCSで及ばず、という評価が大きかったのですが、今回はPCSが出た分点数は上がったものの、TESで他の二人に及ばないと言う少し違う評価を受けています。(織田選手がレベルを取りこぼしたわけではありません)
 フリープログラムでは、力みがみられました。
 これまで1位1位のGPFトップ通過を果たしてきたのに、2位4位で滑り込んだ怪我あけの高橋選手に負けたくないと思ったのか、前述のTESの出かたを見て危機感を感じたのか、それは分かりませんが。
 個人的には、日本男子は今季の実績を見ても、高橋、小塚、織田の3名でオリンピックは決定打と思うので、おそらく五輪前最終国際大会となるファイナルで4回転を試すべきだったと思っていたのですが...。
 結果は、回避。安全にまとめることも必要ですが、高橋選手の言うとおり「ここで守っても仕方ない」...。
 フリープログラムでは、チャップリンを演じましたが、トリプルアクセルが抜けて、まさかのシング
ルに。とっさのリカバリで、3-2-2コンビネーションジャンプを3-3-2に変えるアレンジ。
 その後、最後のジャンプは通常ダブルアクセルのところ、シングルアクセルとなりました。 
 軌道から、たぶん2Aのつもりで跳んでシングルになったのだとは思うのですが、(最後にトリプルアクセルを持ってくるのは体力的にしんどいので)それだとアクセルに苦手意識を持ったのかも、と思ってしまいます(女子選手でもダブルアクセルを失敗する選手は多くありません)
 万が一、トリプルアクセルを跳びにいっていたのだとしたら、成功しても、3種類目の2回跳んだジャンプとしてノーカウントでしたが。

 エヴァン・ライサチェック(アメリカ)
 現世界王者。
 以前は、長い手足をもてあまし気味でしたが、タチアナ・タラソワのところに行ってから、濃いロシアンな感じの動きを手に入れ、感情ゆたかなプログラムを滑るようになったと思います。
 いつも黒か白のコスチュームでしたが、去年はちょっと変わった衣装を身にまとっていて、それもあいまって「変わったなあ」と思わせていたのに、今年はまた黒に戻って残念
 但し、そうは言っても今年はいろいろ飾りとかが付いていてこれまでとも違う感じですが。
 ジャンプは、全体的に回転不足気味だったところを、去年の後半から立て直してきて、今年は回転は大丈夫でした。
 ショートプログラムでは、2階から肉眼で見てもフリップが明らかにアウトエッジだったのに、エッ
ジエラーが付いていないのは気になるんですが。
 フリープログラムも含めて、ジャンプの抜けはあるものの全体をまとめてきたのはさすが。
 PCSも8点台を揃え、地力の差で優勝という感じがしました。
 タラソワのところで、膝を大きく曲げたイーグルなど、長い手足を生かす方法を覚えたようです。なのでステップなどは非常に迫力があります。スピンで身体を折り畳むのは大変そうだけど。

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