●朧の森に棲む鬼 1
劇団新☆感線の「朧の森に棲む鬼」を見てきました。
すでに思い出し日記とかしているブログなので今日付けでいいや…。
相変わらず長いので、いくつかに分けておいおいアップ。
まず染五郎ファンですわたし。
なので、新☆感線については、ゲキシネの「アオドクロ」がほぼ初対面??
あの身のこなしがいいんですよねー。さらに悪役なら言うことなし。というくらいアオドクロにははまったので(でもあの劇の中では「池内博之」さんに惚れまくりでしたが)、次に染五郎客演が決まったら必ず行こうと思っていたのです!
チケット取れてよかった!
今回は、完全新作です。下敷きは「リチャード3世」と「酒呑童子」なんだそうな。関連があるんだかないんだか。
パンフを買うとわかるのですが、酒呑童子をベースにして名前を決めているので、出てくる国の名前が「エイアン国」と「オーエ国」。
すんごくわかりにくい。言葉遊びも由来付けもいいんだけど、役者さんの舌の滑らかさと関連付けなしに見る観客のことも考えて欲しいなあ。ほかはそれなりに合っていたのですが。
総合的な感想は、「新作、だからなあ。」という感じ。
面白いしスピード感もあるのだけれど、どうしても中だるんだり、見ていて脚本(あるいは演出?)が酔っていると感じる部分がある。まあそれは、こなれた作品にも出てくるものですが。繰り返しのギャグとしつこさは紙一重というところかなあ。
「削り」が足りないというより、書き込みが足りないほうが多かった気がする。
なので場のつなぎも割りと唐突。
大きな場面転換のときに歌を入れてイメージを変えるのは、いつも使われる手法ではありますが、それも浮いている。切り替えるというより、突然割り込まれてイラっとする感じ。それは全般的に、「エイアン国」の宮中のシーンに変わるところなのだけれど。
ここで、ストーリーの内容にも触れつつ書くとすると。
主人公「ライ」は本当に悪党で、彼をアニキと慕う「キンタ」とともに森に入ったところ、「朧の森」に棲む「オボロ」という妖怪?に出会う。
オボロは願いをかなえてやる、という。
ライは天下取りの願いを口にするが、鋭い面を見せて、天下を取った途端に魂を抜かれるのは困る、と条件をつける。「俺が俺を殺したとき」に、お前たちに俺の魂をくれてやる、という。
俺が俺を殺したとき、つまり自殺。たとえ世界が滅んでも、強欲なこの俺が自らの命を絶つはずがないと豪語する。(ココかなりかっこいい。笑)
オボロはその条件を呑み、自分たち3人と同じ顔をした女とであったときが運命の転機だと告げる。
色で陥落してもよいし、殺してもいい。自分のものにするがいい、と告げる。
まず最初の転機は、これから来る男を殺して、彼に成り代わること。そう言ってオボロたちは消える。
夢か現かという感じで現世に戻ったところ、本当に男がやってきた。
彼は「エイアン国」の四天王の一人。
本当だったら剣技では足元にも及ばないはずが、オボロに与えられた力(くるくる良く回る舌と同じくらいの速度で剣も動かせるようになる…言い得て妙な力ですよ)のお陰でなんとか勝つことができた。
うん、ここまでは、非常にうまくできていたのです。
テンポもいいし、動きもいいし。
四天王との戦いのときは、ライは勝手に剣が動くのなんてわからないから、いきなり、勝手に右手が動き出して、それに引きずられるような形での殺陣になるわけですが、非常によかった。
(そういう演技は、歌舞伎で操り三番叟という演目があるのですが、その名手だけあるという感じです。三番叟という舞を人形が踊るという設定で、後ろに繰り手がいてその動きと合わせて、操り人形のような振りで舞うのですが、染五郎さんの操り三番叟はもう一回見たい演目の一つ)
もうホントに動きに目が奪われるという感じで。染ファンごごろ堪能(笑)。
その後、成り代わるところからストーリーに齟齬が。(苦笑)
その四天王氏は、祖国を裏切ろうとしていて、戦争中の敵方「オーエ国」のシュテンという酋長?見たいな女性を筆頭にやってきたオーエ国軍と出会う。
成り代われといわれたとおり、とっさにその四天王のふりをしたライは、舌先三寸でシュテンたちを丸め込み自分がその裏切り者であると思い込ませる。
これまで先陣切って戦ってきた敵方の大将の顔(しかも裏切ろうとしているやつ)の顔を知らないわけあるかあっ!みたいな……ねえ。