2006年7月 3日

●White Death


Tim Vicary, Jennifer Bassett
White Death: Level 1: 400-Word Vocabulary (Oxford Bookworms Library)

 娘が旅先で拘置場に入れられたのを知って駆けつける主人公。身に覚えのない、ヘロイン所有疑惑が掛けられたのだという。
 出かけたときに一緒だったボーイフレンドと別れ、違う男と一緒にいる娘に、主人公は戸惑う。
 「彼は変わってしまったの」と言われても、主人公には、変わってしまったのは娘のほうのように思えて仕方なかった。
 主人公は、独自に捜査を始める。
 娘に何が起こったのかをはっきりさせたかったのだ。
 そして、娘の現在の恋人の人となりを知り、元ボーイフレンドと会話をして、主人公にはだんだん、事件の概要が掴めてきた。ただ、まだ何かあると感じている、それが何かはわからないけれど。
 ……娘の運命を決める裁判が始まろうとしていた。


 ――というようなちょっとシリアスなお話です。
 裁判のシーンが中心なので(娘が有罪になるか否か、が読みどころ)ちょっと堅苦しい感じがしますが、GRのLevel1,400語の英語で書かれているシリーズなのでそれほどつっかえることなく読めます。
 普段なら読めずに戸惑ってしまいそうな単語も、話の大筋(どういうふうに裁判が進行するのか、とか)がわかるおかげと、話が息もつけないテンションとスピードで進むので、止まることなく読んでしまいました。
 読み返しておや~?と思う部分があったりもしたけれど、読後に巻末の英英時点に目を通す程度で十分です。
 ちょっぴり推理小説も醍醐味(ヒント探し)も味わえるので、そういうのが好きな人向けかも。

2006年5月31日

●Newspaper Chase


John Escott
Newspaper Chase (Easy Start Penguin Reader)

 ペーパーバックで初心者向けのシリーズがあると知って、吟味を重ねて最初に買ったのがこの本でした。
 届くとまず、薄さにびっくり。
 中身をパラ見して、絵の多さにびっくり。
 絵がいかにもアメリカンコミックっぽいところを除けば、字も大きいし絵本っぽいです。
 EasyStartは、本当に初心者向けって感じのレベルなので、英語から離れて数年の私でも大体の単語はわかりましたし、ストーリーも理解できました。
 あえて単語を辞書でひかないことが重要なので、その代わりに数回読み返しました。
 主人公が「下宿?」しているのがわかりにくかったかな。

 うーん、でも、イラストが発想の手助けをずいぶんとしてくれたし、ストーリーは単純明快、1冊目としては最適の部類に入ると思います。

 ストーリーは以下、ネタバレなので注意。
            ↓
 ・すごくまぬけな泥棒が主人公。
  挿絵によると、主人公は美術館に忍び込み、額からナイフで切り抜いて持ち去っている。…ねえ、それって価値半減以下じゃん…?
  そして、持ち帰って古新聞の間に挟んで隠しておく。
  しかもうっかり者で、美術館で飾ってあったガラスの壜を床に落とし、割ってしまった。なおかつ、迂闊にもその上を歩いて逃げて、靴の裏にはガラスが刺さったまま(苦笑)。
  せっかく盗んだ絵なのに、買い手との価格交渉が難航。さすがに家でそんな話はできないからと外に出ていたのが運の尽き。下宿の管理人のおねーさんはとても世話好き、下宿人の部屋に入って古新聞を回収してリサイクルへ。
  主人公が戻ってきたときにはトラックが出るところでした。
  さすが脛に傷持つ身?
  一瞬で、絵がリサイクルに出された可能性に気づき、トラックを追いかけて大捜索を行う。
  下宿のおねーさんはその必死さに違和感を覚えて主人公を眺めている。すると、靴の裏に光るものが!(笑)
  うーん、どうかんがえてもすごいストーリーだ。(笑)

2006年5月18日

●LOVE or MONEY?


Rowena Akinyemi, Jennifer BassettLove or Money?: Level 1: 400-Word Vocabulary (Oxford Bookworms Library)

 Oxfordのシリーズは、巻末に英英辞典がちょこっとだけついているので読みやすいです。
 このお話は、ごく簡単なミステリ。
 富豪の女が殺された。その日は女の誕生日パーティの日で、娘・息子。叔父など親戚数名での食事会が行われていた。
 被害者モリーは、同居して家事などをこなしている娘にはつらく当たり、遠くの学校に通い滅多に家に帰ってこない娘には甘い。金持ち特有の傲慢さや、「金を乞われている」と感じる神経質さなど、当初から殺人が起きるまでの間ですでに、「あ、殺されるタイプ」と思わせてくれる。

 さて、事件が起こる。
 朝目覚めた一同は、モリーの死体を発見する。夜中、用足しに部屋を出た男、のどが渇いたとキッチンに姿を見せた女、みんな怪しい。いや、隣の家の親父モリーに恨みがあったようだ。
 いったい誰が犯人なのか…?
 これには特別な探偵役はでてきません。DETICTIVEという単語が頻出するので、誤った?日本人英語的には探偵探偵!!と思うのですが、単に刑事さんのことでした。
 きちんと一人ずつにアリバイを聞き、動機になりそうなことについて尋ね、下調べを重ねていきます。
 難しいと思われたのは、モリーの家の周囲だけのお話のわりに、人物が多い。犯人探しだから当然ですが…。
 なじみのない単語って覚えにくいですよね。だから、男性の名前がごっちゃになってしまい、この人叔父さん?息子?それとも隣の人??っていう感じになりやすかった。
 初心者向けで単語数を限定しているからあまりないのだけれど、外国では愛称もあるしそこまで出てきたらお手上げだったかも(別の本の話ですが、「オリヴァー」が「ナル」になったりするし)。
 まあともあれ、読み返さないという英語速読法の鉄則を破ってでも、人間関係と名前を把握しておくことをオススメします。
 犯人はすごく簡単なんだ!でも最初読んだときにはわからなくて、さりげなーく伏線が張ってあったのに気づいてものすごく悔しかったです(笑)。
 ミステリとしては物足りないかもしれないけど、ミステリ好きの英語入門本としてはオススメ。

2006年5月16日

●The Love of a King (Oxford Bookworms Library 2)


Peter Dainty
The Love of a King (The Love of a King)

 知っている人は知っている…らしい、ウィンザー公とシンプソン夫人の恋物語。わりと淡々とドキュメンタリ物っぽく描かれています。
 英語初心者向け700語以下の語彙で書かれたGRシリーズレベル2.
 現エリザベス女王の伯父さんに当たる人物で、厳しく厳しく育てられていた彼は、シンプソン夫人の包容力と、機転の利く言動に惹かれます。
 しかしながら、その時点ですでに彼女は、人の妻だったのです。

 現在、チャールズ皇太子の再婚の件などで取り上げられているので、わりと有名ですが、離婚歴のある女性との結婚を認められていないイギリス国王は、シンプソン夫人との恋を貫くために、王族としての地位を放棄することを決めました。そしてフランスへと渡り、イギリスの土を踏むことのないまま生涯を終えたのです。
 こう書くと、とても貧窮したかのように受け取れるのですが、実際は、上流貴族としての生活を送れる程度の収入はあったようです。ウィンザー公(退位した後はこう呼ばれた)のファッションセンスのよさやシンプソン夫人の宝石のコレクションなども、かなり有名だそうです。
 このあたり、機会があったら調べてみたいところです。

 内容の濃さ的には、子供向け伝記物語といったところ。
 1章が短く(節目ごとに分けているので、1ページ1章のこともあります)、王室というちょっと馴染みの薄いところの出来事について、語彙数を抑えて書いているためか、わりと平易な表現が多かったです。なので、同レベルの本に比べると却って読みやすいかもしれません。 

※GRシリーズとは、GreatReaderシリーズと言い、英語を学ぼうとしている人のために、語彙数を減らし平易な表現に置き換えて発行されている本です。数社で出版されていますが(いずれも海外の出版社です)、レベル設定は出版社によってまちまちです。
 GRシリーズとしては、とりあえず、Oxford Bookworms 、Penguin Readers が有名な様子。
 語彙700語とは、使われている単語が700語(延べではなくて、種類としてらしいです)以下と言うことだそうです。なので、1冊あたりの物語の長さはまちまちです。

2006年5月11日

●The Monkey's Paw


W.W. Jacobs
The Monkey's Paw (Oxford Bookworms Library)

 ホラー風味の短編です。
 OXFORD BOOKWORMS LIBRARYというシリーズのLevel1、一番の初心者向けが「Starters」なので、初心者から一歩踏み出した感じかな。
 手に取るとちょっと厚みを感じます。5ミリくらいだと思うけど、そのうちの半分は表紙の厚さと最後についてくる設問(ちなみに解答はついてないです)なので、気楽に手にとるといいと思います。

 Monkey'sPawとは、「猿の手」ということ。
 とあるところに猿の手のミイラがあって、それを持つと願いが三つかなうという。
 願いは間違いなくかなうけれど、それが最善の結果をもたらすわけではない…というのが中心にあって、主人公の一家は、その猿の手を持っていた人から、決して願いを持ってはいけないと何度も忠告を受けながら譲り受けます。(ようは、どうしても欲しいのなら、コレクションとして飾るだけにしろというような)
 主人公の一家はそういう迷信じみたものは信じていなかったのです。
 ためしに祈ってみようか、とほんの少し緊張しながら願ってみるけれど結局何事も起こらず一夜は明けました。
 しかし、そこから話は進んでいくのです。
 何度もされた忠告を無視して願いごとをしてしまった結果がどう変わっていくのか…。
 そして、最後に何が起こるのか……。

 わりと平易な英語ですらすらと読めるのですが、すらすらと読めるせいでストーリーの不気味さや恐怖感、ホラー漫画なんかのページをめくる怖さのようなものが味わえます。

 ちなみに、よそでのレビューを読んだところ、最後の設問にもあるのですが、お母さんがドアを開けた先に「何」がいたのか?
 これは意見が分かれるところだそうです。

2005年10月21日

●ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の本


向山 淳子, 向山 貴彦, studio ET CETRA, たかしまてつを
ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の本


 ちょっとちがうかもですが、英語つながりで洋書カテゴリに入れてしまいます(苦笑)。
 一時期、あらゆるお店で平積みされていたので、ご存知の方も多いはずな本です。
 英語読みへの第1歩を踏み出させてくれた本かもしれません。


 表紙に一目ぼれ。 本屋さんで、いつもは近寄らないフロアの通りすがりに平積みされていた本です。
 とりあえず猫が気になって気になって、英語からは離れていたのに、つい手にとってしまいました。どちらかというと、英語<猫という感じでしたが、読んでみてびっくり。
 いわゆる「英語脳」に関する説明が、わかりやすく書かれているのです。
 内容は、実物を読んだほうが絶対にわかりやすいのですが…。
 英語はA→Bというかたちで成り立っている、Aは主語、Bは目的語、矢印は動詞。
 そして、ABを箱や役者にたとえた説明が始まります。つまり、ABには何でも入るということ。矢印のいろいろな向きの説明。なるほどーと学生英語を思い出しつつ読むと、ちょっと「デキる人」になった気分。(笑)
 そこで、例文。
 名前と表紙のとおりのビッグファットキャットが出てきます。イラストもポップでかわいいし、お話は、猫とパイ屋さんの凄絶なパイをめぐる戦い(笑)という親しみやすいもの。
 例文も徐々にパラグラフが長くなっていくので、だんだん長文が苦にならなくなります。また、難しい(珍しい)単語には訳がルビで打ってあります。
 ストーリーが単純なだけに、そうするとちょっとややこしく主語が隠れている文でも読める気がするから不思議です。
 すべての例文は、後から1文ずつAB矢印を使って解説してありますので、わかりやすいです。(一番最初は、例文の下に矢印が書いてあったりと、段階を踏んで成長できるように工夫があります)
 著者は、この本の例文について「本を読んだ人が混乱せずに学習の成果を試せるように」ちょっと極端な表現など、あまり使われない書き方をしている部分があります、と注釈をつけられています。私にはどの部分を指しているのかわからなかったのですが、たぶんそんな部分があるのでしょう…。でも、私たちも日本語が上手でない人と話すとき、極端に主語!述語!OK?みたいに話すのだから、入門書として秀逸なことには変わりないですよね。