2006年12月30日

●全日本フィギュアスケート選手権(男子)

 フジテレビですよ。例年ですが。
 去年はCSでノーカット放送やってくれたんだけど(やっぱりオリンピックかかってたからかなあ)、今年は違うようでちょっと悲しい。フジは結構、CSのほうがいい放送が多いので(バレーボールとか。解説も実況も違う人がやるのよね。変なアオリも入らないし、淡々と放送してくれてとても嬉しい)期待してたんだけど。

 男子放送枠は深夜で、ちょっといい感じ。ゴールデンでなくて安心するってどうかと思うけど…。
 実況の西岡アナはすばらしかった(比較の問題だけど)。解説の本田選手も。

 さて、演技ですが、神崎選手がSP・FSともに放送されたのは良かったです。
 グランプリシリーズに派遣されているわけでもない選手を、上位だからといって放送した英断に関心。
 というか、なんで1時間枠よ?という疑問が先に立つ訳ですがそれはもう言ってもしょうがないと諦めようう。CSに期待。
 SPは時間が短いのでよりたくさんの選手が放送できること、あとは完全に抽選なので、単に最終グループを映せばいいって問題ではないということで、やはり注目選手を映していましたねえ。上位6人+注目選手ってところかな。うん、その選択は良かったと思う。(GPシリーズで、上位3人に入ってもなぜか放送されない選手がいたことを思えば。まあ、局が違うんだけど)
 そして翌日のFS。確かに、6人できちきちかなあ。CM入るし、キスクラとかやはり上位選手にはインタビューとかを考えると。……それで、かっちり最終グループ(=上位6人)のみ。すごいよ、凄すぎるよフジ。その他を欠片も流さない明確さが素敵。

 さて、演技ですが……。

 まずは神崎選手。なんか、冬のソナタをやったということで(野辺山フェスでやったらしい)一躍脚光を浴びたとの噂ですが、非常に良かったです。SPがボレロ、FSがオペラ座の怪人ということで、微妙に人とかぶるプロだったんですが、きっちり自分の色を出していて、時々全日本が、フィギュアの全国大会で、それを目指してしまうことを忘れてしまうことがあるのですが(どうしても、世界で活躍している選手に注目が集まることや、ほかの大会のステップ的な扱いをされやすいことなどから)、この選手の演技を見ていて、本当の意味というか、頑張っている理由やこの大会を頂点として目指している人たちのことを考えました。
 すごかったです。(それしかないボキャブラリの私)コーチも観劇して泣いてたし。さらっと田村岳斗コーチ(長野五輪のときは高校生だったのに…)がスーツでついていてちょっと懐かしかった。
 4大陸派遣ということで、頑張って欲しいです。これで結果を残せば、グランプリシリーズ参戦の芽がでてくるのですが(国際大会で実績を積んで、ISUランクを上げないとグランプリシリーズは参加できないのです)、今年大学院生ということで、引退を視野に入れているらしく、勿体ないかも…。
 
 小塚選手は、やや調子を落としていたのかな。
 織田選手と力の差はまだあると思うけど、NHK杯の点の出方とかから、一発逆転があるっとプレッシャーでもかかったのかなと思う。NHK杯は良かったけど、その前のエリック・ボンパール杯はがちがちでうーん、と思ったし。シニア初参戦で、NHK杯の成績を残してしまうと(外に有力選手がいなかったとはいえ)、全日本でも負けられないというかプレッシャーはかかるんだろうな。

 織田選手は、やはりちょっと不調気味でしたね。
 SPはうまくまとめたと思うけれど、基本的にGOEの加点の鬼と思う彼があまり加点をもらえてない状態で。(そういうところ、相対評価はあまり変わってないのかな。高橋選手に加点して点差をつけたかったかったようにも思える)
 織田選手が前回のワールドで、4回転を飛ばずに4位まで持っていけたのは、抜群の安定感、ジャンプの加点の凄さだったのですが、今回はその安定感がなりを潜めたような気が。
 GPFで優勝すればワールド内定、GPSの結果から織田選手が優位に立っていて(NHK杯では負けたけれども、高橋選手ファンでさえ、神演技は続かないと思っていたし…)、緊張からか転倒減点が相次ぐ事態に。今回も、完全に1回勝負で、まわりが良い演技をすればどうなるかわからないという不安もあったと思うので、ちょっと今回の結果でワールドが心配になった…かも。前回の4位は、ある意味無欲の勝利だったのかなとも思うんですよね。(もちろん、採点ミスによる順位逆転の悔しさとかもあったと思うけど、前回ワールドは、オリンピックに照準を合わせすぎてぐだぐだ演技だった人もいるので、アレを参考に今年を期待するのは酷…ただし、織田選手も伸びているので、そういう意味では期待できると思うけれど)

 それから高橋選手。
 …………すごかった。
 神演技は続かないなんて思っていてごめんなさいという感じ。
 NHK杯も良かったけれど、全日本は、スピンの速度も上がっていてさらに上という感じ。
 GPFで体調悪いながらも4回転を決めたのが自信になっているんだろうなあ。クリーンな着氷に感動。若干怪しいところもあったけれど、トータルの完成度は良かったなあ。(解説陣が思わず見入ったって感じに静かだったのも良かったし。基本的に男子の実況ってあまりしゃべらないから良いのですが)
 ステップワークがさすがで、あっという間に終わってしまう感じがするのですね。高橋選手のを先に見ると、外の選手のステップが緩やか~に見えてしまうという。勿体ないのは、ステップシークエンスのレベル判定が非常に微妙であること。今のところ高橋選手は自国開催でしかレベル4を貰ってないので…。
 新採点システムでは、ストレートラインステップの場合、基礎点はレベル3だと3.1、レベル4だと3.4で、0.3ポイントしか差がありません。(ちなみにジャンプはトリプルアクセルが7.5点、一番簡単なトリプルトウループで5.0点。ステップシークエンスは必須要素とはいえ、この点数配分だと、力入れないと思う選手がいても仕方ないかな)
 ただし、GOEという技そのものに対する評価点の加点がちがうのです。ジャッジは-3点~+3点の幅で、技に対しての評価ポイントをつけ、その平均がGOE加点としてプラスされるのですが、ステップの場合、レベル3だと、そのGOEが0.5倍(つまり半分)して加算されるのですが、レベル4だとそのまま加算されるのです。普通、レベル4を取ってマイナス評価というのはありえませんし…。
 レベル判定は、コーラーと呼ばれる別のジャッジが行うので、基本的にGOEの判定をしている人たちはその技のレベル(あるいはジャンプの回転数の認定)は知らないままで評価するらしいです。
 これで、高橋選手が平均して、2.0の評価を貰っていたとすれば、レベル4の場合3.4+2.0=5.4がステップの点数となりますが、レベル3だったならば3.1+1.0=4.1点になってしまうわけで。
 国際大会になると僅差の戦いだから、この1点強は凄く響くので、なんとかレベル4認定されて欲しいです。(前述のとおり、織田選手はジャンプでこの加点を取るので、7.5ポイントのトリプルアクセルが、加点のお陰で9.0ポイントの4回転トウループと同等の点数となるのです。だから、彼がまともに4回転を飛べるようになると非常に脅威になると思います)

 いやはや、アオリも少なく淡々としていてとてもよかったです。
 普段のアオリはいらないやと思うのですが…神崎選手はちょっとなるほどと思う部分があったので、そういう意味ではやはり初見の方向けには必要なのかな…むむ。
 ああ、でも最終グループに入らなかった人たちも見たかったなあ…。

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