2006年06月13日

●沈夫人の料理人


深巳 琳子沈夫人の料理人 1 (以下続刊)


 料理漫画です。(笑)といっても、作るのも食べるのも主にはおいてなくて、沈夫人と料理人の李三とのやりとりが中心。
 沈夫人はおいしいものを食べるのが大好き。ちょっとといわずかなり我侭ではあるが、後妻として入ったかなり年上の夫君の前ではきちんとおしとやかを演じ、駄々をこねてみせたりして思う存分幸せな暮らしを送っている。
 そこで重要なのが、李三。
 李三は料理の腕前は天才的なのだけれど、おそろしいほど自分に自信のない人間である。
 「できそこない」と思い込んで育ってしまったようだから仕方ないのだけれど、その腕前は誰にも劣らない。
 李三の料理は沈夫人のために作られている。沈夫人は「おやさしくて心の澄み切った方」で、李三の料理を認めてくれるからだ。(もちろん、やさしくて云々は李三だけが感じている)
 だから、どんなに我侭を言われても、――たとえ季節外れの食材を探してこいといわれようが、肉を使わない肉料理を作れといわれようが、頑張ってしまうのだ。
 李三は心底、沈夫人を慕っている。
 要求が困難であればあるほどおいしい料理を作るから(たぶん、たくさん考えるからだろう)、沈夫人の我侭はエスカレートするばかりなのだけれど、本人がそれが幸せだと思っているのだから、良いのかな。
 多分にMの気があると思います。李三…。

 ちなみに、掲載誌がビックコミックオリジナルということで、一話が非常に短い。
 筆者の線も細く、どことなく細筆で書いたような印象を与えるので、話には合っている。
 問題は、タイトルページらしいきっちりした扉絵がないのところかな。
 連載ものなら話の区切りがしっかりしなくてもいいのだけれど、読切連載なので、右ページで話が終わって左ページから新しい話が始まると、混乱してしまう。
 大コマも少ないので、話の波がわかりにくいから、1話として読むといいのだけれど、通しでコミックスを読むと、???となってしまいがちなのだ。
 話の初めにはタイトルが小さく入るのだけれど、終わりには何も書いていないから(せめて「○○/終」とかでも入れてくれるといいのに。)そのタイトル部分に目をやる前に数コマ読んで、ちょっと混乱するのでした。
 や、私だけかもしれないんですけど。

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