2006年04月13日

●ゲキシネ「SHIROH」観劇

 劇団新☆感線が積極的に行っている「ゲキシネ」でSHIROHが配給されていたので見に行ってきました。
 ゲキシネというのは、演劇を映画館で見よう、みたいな設定で、公演をカメラ撮影しているのですが、一般的な生放送のようなアップと全体しか映さないような平坦なカメラワークではなく、最初にある程度のコンテを切った上でたくさんのカメラを入れ、編集したものなので普通なら主役に視線が向いて見逃してしまうようなちいさなリアクションが大写しになっていたりして、公演を見た方にこそ見てもらいたいようなつくりになっているのです。
 ちなみに、私は気に入った公演を何回も見たい派です(笑)。
 SHIROHはすでにDVDが発売されていたので、まさかゲキシネになるとは思っていなかったのですが……。
 ゲキシネのいいところは、劇場並みに集中して見られるところと、音声が良いところなのですが…どうして新☆感線って爆音なんだろう…(>Δ<)、大きい音が苦手なのでいるもそれが気になります。
 唯一、舞台を感激した「紅天狗」という作品も音がすごすぎて、1階やや前寄り中央という良い席から、たまたま空いていた再後方席にうつらせてもらったくらいです。
 演出とかかなり好みなのに、爆音で台無しになるというのは(私の中での基準なので、他の方はどうか知らないけど)とてももったいない気がする。
 聞かせどころのSHIROHの歌声も、後半はやたらとキンキン響いてもったいなかったな…たぶん、耳が限界に来ていたんだろう…。
 音響性外傷という、爆音でなる耳の病気になったことがあるのですが(ライブなんかが終わったあと、キーンとかワンワンとか耳鳴りがして聞こえづらくなるののひどいやつです)、あれのちょっと手前くらいにダメージがくると、高音がやたらと響いて聞こえるのです。

 さて、内容ですが、ロックミュージカルという設定を知らなかったので(苦笑)、やたらと中途半端に科白を歌うなあという印象を受けました。
 ミュージカルってこんなのなのかな。
 無理に、科白を印象付けるために節をつけている感じで、「??」という気分になる。
 特に導入あたりは、ストーリーの全容もわかっていないところに、いきなり歌われる脈絡のない歌詞が気になってしょうがない。
 「歌で人の心を動かすことのできる少年、シロー」の歌の科白がとても直接的で、なるほどね、と思いつつ(踊ろう♪とか戦え♪とか)、メロディもストレートなのであんまり心に響かない。
 申し訳ないけれど、これまで新☆感線は歌の挿入の仕方もそれによる盛り上げ方も秀逸、と思っていたのに、なぜ歌がキモのミュージカルでこうなのかしら、と思ってしまった。

 主役の一人、「シロー」を演じるのは中川晃教。ロック版?モーツァルト!で注目を浴びていると聞いていたので、楽しみに。
 わりとゴツめ?(失礼。でも、そういう感じの雰囲気だった)の外見に似合わずハイトーンの歌声でちょっとびっくり。
 もったいないなと思ったのは、歌うときのくせなんだと思うのだけれど、必ず眉根を寄せて声を出すので、楽しいのか無理しているのかわかりにくいこと。演劇としてみると、ちょっとそれはマイナス。
 舞台でならそんなに気にならなかったと思うけれど、なまじ「ゲキシネ」なので、大写しになってしまうシーンが多くて、ちょっと微妙だった。
 歌が一本調子に聞こえてしまったのは、楽曲のせいじゃないかなあと思う。
 神の声、の役を演じるのによく合った綺麗な声だったし、表情というか眉間の皺以外はとてもよかったと思う。
 もう一人の主役、「益田四郎時貞」を演じるのは上川隆也。
 劇団キャラメルボックスに所属していて、NHK「大地の子」の主役に抜擢されたあたりからTV出演が始まった方ですが、そのころからTVの活動はわりと見ていたのですが、あんまり現代ものは活きないなあと思っていたので、舞台を見られるのが楽しみでした。
 演じようは、期待通り。私の感じたストーリーをほぼ外れずに表現されていたので良かった。最近のTVドラマみたいに、小さな箱庭でこつこつと行われる出来事よりも、大河ドラマのように大きく動く世界のものが似合う人だと思うんだけどなあ。
 大きいアクションが似合うというか、なんとはなしに、泥臭さが似合うというか。

 ほかに気になったのは、新☆感線の看板メンバーは除くとして、「高橋由美子」。
 「ショムニ」というドラマでもエキセントリックな役をやっていましたが、そういうのがハマル人は舞台向きだと思う…。
 前に書いた「紅天狗」で主役を演じていたのですが、そのときからいいなと思っていました。
 ときどき、はっとする表情をみせてくれます。
 今回も、ラストシーン間際で、すごい表情を見せてくれたと思います。喜びとそれ以上の絶望に彩られたような表情のアップには、息を呑みました。

 それから「大塚ちひろ」。科白はほとんどなく、象徴的なイメージの役立ったにもかかわらず圧倒的な歌声と存在感で、すごいなと感じました。その後、こういったイメージの舞台には出ていないようで残念。

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