●北京オリンピック・男子バレー
この間、結構熱く書いたのですが、何気なくネット上で愉快なことがいろいろと。
山本隆弘選手のブログで、植田監督が中国戦”前”に、決勝リーグ行きを目指さないことを明言したらしいことが書いてありました。
男子バレーは、全勝も全敗もありうる波のあるチーム。
中国・ベネズエラにはできるだけ勝って、2勝を確保し、イタリア・ブルガリアは格上なので勝ちを拾えれば儲けもの、できるだけ点差を付けられないように粘って得失点差で勝負…というのが一般的なバレーファンの発想だったのではないかと。
OQTでは、基本はメンバー固定でスタートしましたが(セッターとのトス合わせの必要から、バレーは本来そんなにころころメンバーチェンジをするものではありません)、途中から怪我をしていた越川を下げることが多くなり、控えメンバーも全力投球な、全員バレーといえるくらいの総力戦でした。
チームとしての完成度を高めるためには、最初からAチームとBチーム、主力と控えのラインを引いておき、その中でBチームの選手は控えとして出たときに求められるものは何かを考えながら練習をするのが基本だと思います。
OQTでは線引きがしっかりしており、Aチームのセッターは宇佐美で速いバレー。朝長はBチームのセッターとして、代わって入ったときの安定感や打ちやすいトスに専念していたようでした。
また、朝長はBチームセッターとして練習しているので、Bチームのメンバーとのトス合わせはばっちり。後半、Bチームの出番が多くなってきた(本来、OQTに限らず、連戦の続く大会では意識的にBチームメンバーを出して疲労を分散させるので、イレギュラーではないです。メンバー固定でひたすら働かせる全日本女子がちょっと変)ため、朝長のトスがはまりやすくなるし、前半が宇佐美のトス回しでデータを取られていた分、朝長のトス回しでパターンが代わり、データを混乱させるというオマケもついてきました。
ただし、そもそもオリンピックに出られたことが奇跡といっていたチームなので、OQTは総力戦。何もかも出し尽くしているため、データは取られまくり。
さらに男子は長丁場のWLが控えており、練習に打ち込める環境でもありませんでした。
プールごとの1位が出場するWL決勝、最下位のくせにワイルドカード取得、16年ぶりの悲願を達成した割りに、格上のチームがあつまる(参加国はオリンピック出場国がほとんど=大陸1位クラスばかり)んだから賞金なんか取れるわけないのに、何故かWLの勝利にこだわり新ボールでの練習はオリンピック直前。
謎です謎。
結果、一番繊細な調整を必要とするサーブが犠牲になり、サーブで攻めてサイドアウトをとられにくくすることができたことにより、OQTを勝ち残った日本は、オリンピックでボロボロになってしまったのでした。はぁ。(なぜか植田監督は、サーブは精神力だ!と叫んでいますが…感触も空気抵抗も違うボールで、時速100キロオーバーでライン際10センチとか狙うのは、技術力+慣れではないかと思うですけどね。この力でこの位置をこの角度でミートすれば、というのは、結局何百本と打ってきた練習の成果なんだと思うんですが)
それはともかく。
始まる前から、日本のデータは9割以上読まれていたと思っていいと思うのです。セッター2人をフル活用してOQTを戦い、すぐに一部は怪我で離脱、一部はWLで転戦。一堂に会す機会などほとんどなく、戦略を練り直す時間なんてなかったんですから。
そうなると、わりとオーソドックスなトス回しをする朝長に先発の役割を期待するのはとても苦しかったはずです。
しかし、先発朝長。調子の悪いゴッツを下げず(といっても控えが経験の少ない福澤と、骨折の荻野では下げづらかったのはわかるのですが)、トスは読まれてシャットアウト連発。
なのに宇佐美を出しません。
ぎりぎりでようやく出した宇佐美は、調子の悪さもあるのでしょうが、出るなりトスミス。
懲罰のように、2本のトスを上げただけで交代です。
夢舞台のオリンピックにでたんだから、ちょっとくらいミスるだろ~~!?見たいな気はしたんですけど。朝長のものすごいテーピング(WL前半で肉離れを発症)、動きの遅さ、トスの悪さ、を見ても今は朝長は休ませるべき、というのがありありとわかったのに。
宇佐美はセンターを使う数が少ない、というのは確かにそうなのですが、だからといって決まらないセンターを使っても仕方がなく、効果的な「オトリ」としての使い方もしていたのですが。
あれだけレセプション(サーブカット)が乱れれば、センターは使えないです…。
加えて朝長は越川に苦手意識があるのか、極端にトスの数が減ります。
予選終了時点でベストスコアラー18位(全敗=3セット75点取った試合がないうえ、途中交代があり、かつ1試合丸々出ていないにもかかわらず)をとっていた越川。
全員バレー、データを取られないためにトスを散らすのもわかるのですが、それで不調のゴッツにあげ続けてシャットアウト、ブロックを振り切れずセンターに上げてシャットアウト、を見ながら、当たっている越川への数が少ないことにはちょっと疑問しかないです。
得点が少ないということは、サーブを受ける側、が多いということでその場合はかなりの確率でベンチの指示があります。その中であえて越川を外してきたのでしょうが、不調のアタッカーに上げ続ける、好調なアタッカーは使わない、という采配は疑問です。
ほかのブログでも書かれていましたが、その選手が点を取った直後に変える(ワンポイントやピンチサーバーでもなく)って何?
OQTイタリアの敗戦のせいか(17-24からの逆転のとき、タイムは残っていませんでしたが選手交代は1回残していたらしいです。なんで交代使って流れを切らなかった!とも話題になったとか?)、どうしてもタイムアウトを使い切りたいらしく、22-23とか、23-24とかの終盤のタイミングで、日本がポイントをとったときに必ずタイムアウトをとっていた植田監督。
ミスでなくポイントを取ったときは、選手も気分がいいし相手にしてみればいやな気分。
連続ポイントをとられたとき、よくタイムアウトで流れを変えるじゃないですか!
なんでその終盤に流れがきたときに断ち切るようなタイムとるかな!(怒)
のんびり解説の真鍋さん(解説としてはぐだぐだでしたが…)いわく、ブロックなどの指示を出しているとの話でしたが、だいたいそのタイムアウト後はほとんど相手に得点取られて終わってるんですけど!
う~~ん、ホントになんでかなな感じの戦いでした。
選手は、できる範囲でできる限りのことを精一杯やったと思います。
切符取れたのが奇跡なんだから、勝てると思っていなかったよ、とはファンとして思いますが、オリンピックの試合のビデオはつらくて見返せません。(OQTはかなりリピートしたんですが)
選手が、明らかに、采配に戸惑っているのが伝わってくるからです。
オリンピックは4年に1度しかありません。
怪我などの理由でピークをあわせられなかった選手や、年齢、相性などの理由でだめだった選手もいるでしょう。
オリンピック出場したことのある選手が、本当に後輩を引っ張れるか?
北京チームをオリンピックに出るためのチームと言い切り、次は勝つためのチームを作るんだそうですが(BY植田監督)、このような使い方をされて負けた原因は選手に押し付けられているのに(野球は星の監督が一人で攻められているのですが、バレーはマイナーでよかったねえ植田監督…)もういちど選手はきてくれるのでしょうか。
オリンピック至上主義の方々は、全日本のユニフォームを着られることを誇りに思えとでも言うのでしょうが、その後の競技生活が短くなり、全敗の責任までかぶせられる状況下ではとてもそうは思えません。
女子は、柳本監督の「選手固定」が行き過ぎて、召集しても来てくれない選手がいるそうです。(シーガルスなんて、確かに召集されたことないですね)
男子もこの結果を受けてそんなことにならないよう願います。
(サントリーの荻野=骨折、越川=半月版損傷、堺の朝永=靭帯損傷、ゴッツ=肩治らず? ぱらっとみただけでも負傷者続出ですから…)
ちなみに越川選手は本人のブログによると25日に半月板の内視鏡手術を受け、結果は良好のようです。プロ契約の今年度継続したばかりだと思うので、怪我の治り具合は気になるところです。
サントリーも人気選手をいきなり放出したりはしないでしょうが、怪我をして活躍できなくなれば契約を切られるのがプロ。それを承知で、敢えてプロ契約をして自分を追い込んだ越川選手。
焦ってリハビリが悪い結果をもたらさないように願います。