2008年05月13日

●「世界でいちばん不運で幸せな私」を観た

世界でいちばん不運で幸せな私
ギョーム・カネ マリオン・コティヤール チボー・ヴェルアーゲ
B0006TPIJS

もう寝ようと思っていたら、たまたまビデオを止めたときにやっていたのがこの映画だった。
最初の10分くらいを見逃して、いかにもフランス映画風の展開と映像に、ちょっと気になって録画。
今日ようやく見ました。
アメリで感じて、かつ、アメリの時にはちょっと理解できなかった不条理な展開が、この作品だとぴったりはまる感じで。
ストーリーは、最初が切れているのでちょっと不明な点もありつつ、まあとりあえず妙なシンパシーでつながれた二人の幼馴染がいて、とても悪趣味で理解しがたいいたずらや悪ふざけをする。
キイになる小道具としてメリーゴーランドの缶があって、その缶を持っているほうがいたずらを仕掛けるほうが出来る。キイワードは「乗る?」「乗った?」で、フランス語だと3つの単語らしい。(ラストあたりで綴りが出てくるのでわかりましたが、その綴りを観たときの印象は「のるかそるか」という感じでした)
仕掛けられたほうが「乗った」ときは、どれだけ悪趣味なものに引っ掛けられても自己責任、という、きっつーい冗談が好きそうなイメージのお国柄に合うネタでした。
なので、どっちが缶を持っているかで情勢が変わるのです。
缶を持っているほうが真剣な話をしても、缶を持っているだけに悪戯と思われて信じてもらえないし、缶を持っていないほうが真剣に話していても、持っているほうが悪ふざけにしてしまうという。
主役の女の子が、めちゃくちゃかわいくて、小悪魔的というか(もはや「小」はつけられないくらい悪魔的ともいう)複雑で激しい性格がよく出ていて、感動していたら主役はマリオン・コティヤールでした。
なんか聞き覚えがある…と思ってよく考えたら、エディット・ピアフでアカデミー賞をとった女優さんでした!授賞式でチラッとだけ観たピアフのワンシーンに感動して、リバイバル見に行こうと決めているので、その縁に感動。
魅力満載です。もう一人の主役の男の子が無駄に美形じゃないところも良い。美形が無駄になったわけじゃなくて、ほんとに美形じゃないんだけど。
ラストシーンで、ああこうくるかーと感心させた後で、煙に巻くみたいなホントのラストを持ってくる終わらせ方には、とっても感心しました。そうそう、きれいに終わらないのがいいのよ、みたいな。
(え、あれ?この人たち、あのひとたちじゃないよね?みたいな)

壮絶なラブストーリーです。でも、恋愛じゃないと思う。最後まで、二人の間にあるのは「恋愛感情」なんだろうかと考えてしまいました。恋愛より深い愛があるとかそんなことではないんだけれども。
別々の人と普通に恋愛して普通に結婚しているのに、それとは違う何かの感情があるんだろうなあと言う感じ。
最後の、「僕」の妻の「私を見て!」という単語はちょっと苦いものはありましたが、全体がトンデモ設定なので、まあスルーです。

この映画を観て、タイトルの「不運」は誰にかかるのかを考えてしまいました。
女の子「ソフィ」に捕まった「僕」なのか。たぶん、一般的にはそうなんだと思うけれども…私には一番、ソフィが不運な子に見えました。
全力投球の悪戯につきあってくれる「僕」に出会って、でも思いが伝わらなくて何度も苦い経験をして、最大級に裏切られて…。振り回されている「僕」よりよっぽどソフィのほうが振り回されてたんだけどなーと。そのあたりの流れに苦いものを感じはしたんですが、最後の「ばら色の人生」の歌詞と甘い歌声で、すっかり毒気を抜かれた感じで。フランス映画なのに英語詞でところどころフランス語が入っている素敵な曲(笑)。
堪能したです。
はー、遅寝はするもんだ。(笑)ぜったいレンタルビデオとかでは出会えない作品を見ました。深夜映画も時々ヒットするのであなどれない…。

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