2010年1月28日

劇団四季 福岡撤退

劇団四季が福岡シティ劇場を撤退。
ニュースで聞いたときは耳を疑ったのですが、確かにここのところロングラン公演がなかったです。
劇場の改装と同時に出て行く感じはちょっとどうかと思いますが。

浅利代表の発言は下記のページで確認できます(1月26日付)。
http://www.shiki.gr.jp/navi02/news/

なかから、ちょっと衝撃的だったコメントを抜粋。
「それ以降も、福岡の劇場を支えるために優先的に作品を配置してきましたが、ロングラン公演として福岡で上演する大型ミュージカル作品の在庫が、正直に申し上げますと現在ございません。」
この前半はリップサービスとして、作品の在庫がございません。という一文はかなり厳しいですね。
人の入る作品とは何だったのか。
よそでは続けられるのに、福岡で続けられない理由。

年間動員数にしか言及されていませんが、これまでの上演作品の公演日数と動員数を知りたいなと思いました。
福岡は「惚れやすの飽きやす」と言われていますが、確かにライオンキングやキャッツ、オペラ座の怪人といったメジャー作品しか声が聞こえてこなかったのも事実。
私は「壁抜け男」という超マイナー作品を一度見に行ったきりです(苦笑)。
そこで意外と(と言っては失礼ですが)良質な作品だなあと思っていました。ミュージカルと言う、人によって好き嫌いが出そうなジャンルなのがいたしかゆしというところでしょうか。
それを言えば歌舞伎もそうですが、歌舞伎は松竹という巨大なプロダクションが支えているし、劇団四季という「ちょっと経営上手な劇団」とは違う感じがしますね。あまり見たことがないので言い切ることはできませんが、この間、ついうっかりまた見損ねたカンブリア宮殿での一幕を見ると、劇団四季にスターは要らないのですね。
劇団四季というステージを完成させるために突出したスターは必要ではなく、すべてが調和することこそ重要なのです。
相変わらず、博多座は「座長公演」的な演目が人気を集めています。それを見ていると、やはり「テレビスター」と動員の関係を切り離すことが難しかったのかなと思ってみたり。

最近は北九州市の方が良い演劇が多いそうです。(この間福岡在住の人からも言われました)
小劇場演劇を好む側からすれば、劇団四季の「トップスター不在」の演劇の方が調和が取れていていいような気もします。理念と現実が一体となっていればですが。

浅利代表の、さらっと聞き流したくなりつつ、ちょっと突っ込むべき発言。
「~(略)芸術性の高い作品を上演したいという目標も持っております。ただ、こうした事業の実現には、地元の企業、団体のご支援をどの程度まで頂けるかということもございますので、そうした事情も鑑みながら、今後の公演計画を熟考したいと思います。」
結局財界任せというところで、ああ商売人だなあと。

「通年でコンスタントに上演をするということは、お客様が観に来て下さる土壌がしっかりしていないと難しいと思います。」
確かにそうですが、
「全国初の劇団四季常設専用劇場として福岡シティ劇場が誕生し、以来13年間で延べ33作品、333万人のお客様にご来場いただきました。」
にもかかわらず、土壌ができていないと言い放つのは、本当に商売しかしていなかったからではないかと思います。
この発言を読んでしまうと、「作品の在庫がございません」という厳しい一文が色あせてしまいました。

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