●まいにちのこと。
毎日急ぎ足でおうちに帰る。
帰る道筋は、煌々と明るいひかり。
ひかりの向こうは、閉ざされた世界。
きんきんとまばゆくつめたいあかりが、
うすぐらく誰もいない空間をぼんやりと照らしている。
暗くもなく身の危険を感じることもなく、
ぶじに帰ることはできるけれど、
誰とも話すことはなく、ただ帰るだけ。
帰って誰もいない部屋で、
ただ眠ってまたはたらきにでかける。
いきていくためにはたらくことは必要だけれど、
はたらいているから、たのしむこともない。
そうしていくうちに、不安は溜まっていくのだろう。
おうちに帰ってチャイムを押す。
家にあかりがついていて、出迎えてくれる人がいる。
鍵は持って出かけても、チャイムを押したくなるのは、
たぶんしあわせを実感したいから。